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SHALOCKMEMO 051〜100
2004/07/18〜2004/12/09

100 2004/12/09 キャシー・ヤードリー「駆け引きの誤算」★★★★
ハーレクインブレイズでキャシー・ヤードリーの「駆け引きの誤算 Working It 2003 霜月 桂/訳 BZ-12」読了。
プレゼンテーションという言葉はもう業界用語というよりは一般的に使われ,定着しているように思う。しかも,企業の営業活動にプレゼンテーションは欠かせないものになっている。ヒロインのジェイド・モローは公告会社の社員でプレゼンテーションを企業に指導する担当。作品中にも自分の会社の製品を如何に相手によく説明し,契約に持ち込むかのノウハウが実際の場面で登場する。しばらくオフィス・ラブ・ロマンスを読んでいなかったので,この作品を手に取った。表紙はオフィスのイメージではないが,ヒロインのジェインは濃いブロンドと整った顔立ち,大きすぎないながらもバランスの良いプロポーションのモデルを使っていて,とても感じがいい。文中では175センチメール,ガーネット色の髪,モスグリーンの目とふっくらした唇と描かれている。名前のジェイドは翡翠の意味。
一方ヒーローのドルー・ロブスンは195センチメートルで黒い髪に黒い眉,青い目と表されている。肌の色も精悍な浅黒い色というイメージが伝わってくる。読者が女性なら一見して惹かれるタイプだろう。
ストーリーは父親の鉄鋼会社を継いだドルーだが,社は経営の危機に見舞われており,次年度の契約を取るために三週間の契約の旅に出ることになっている。そこに,父親が契約した公告会社からジェイドがクライアントであるドルーに契約を取らせるため,営業やプレゼンテーションのコーチをしながら三週間の契約のたびに同行するというもの。社長としての責任を感じて旅行に出発したドルーは,初めはジェイドをうるさく感じているが,ジェイドのアドバイスで契約がうまくいったことから,心を開き,ジェイドの魅力にも気付いていく。旅の半ばを過ぎたところで,二人のロマンスは燃え上がるが,重要な契約を控えているドルーとジェイドは互いに仕事を優先させる。しかし,仕事がうまくいったにもかかわらずジェイドの方はその成功をねたんだ上司の陥穽に落ち,昇進はおろか,退社させられることになってしまう。惹かれ会う二人は愛する気持ちを確認できないまま,別れてしまうのか。二人の愛の行方は?ドルーは白馬の騎士としてジェイドの苦境を救いに登場するのか?最後まで息をつぐ間もなく,一気に読者を引っ張っていく著者のストーリーテリングは見事である。
99 2004/12/05 クリスティン・リマー「クリスマスの誓い」★★★★
シルエット・スペシャル・エディションでクリスティン・リマー の「クリスマスの誓い Scrooge and the Single Girl 2002 佐野雅子/訳 N-1040」読了。原題は「スクルージと独身女性」だが,スクルージはディケンズのクリスマスキャロルに登場する金持ちで孤独な老人のこと。
ブラボー家の三兄弟の最終話でブラボー家の次男ウィルとジリアン・ダイアモンドのロマンス。クリスマス譚仕立てで,雪に閉じこめられた山小屋で二人だけ(猫が1匹ついてくるが)で過ごすことになってしまう設定。
夏に柳の下に幽霊が出る日本とは違い,西洋の幽霊はクリスマスにでるらしい。怪我をして眠っている間にジリアンは山小屋の持ち主だったウィルの祖母メイベルの幽霊に出合い,ウィルとキスをしてしまう夢を見る。父親に見捨てられ,母親も自分の店だけに夢中になっていた幼少時,十二月二十六日が誕生日のウィルはその後もクリスマスの頃にいろいろな不幸に襲われクリスマスを恐れるようになっている。普通の人のようにクリスマスを祝おうという気持ちにさせようと,ジリアンはウィルに次々とかつての経験を語る。それ以降ジリアンがウィルに心惹かれていく様子と,メイベルの幽霊がジリアンを導いていく様子が登場し,読者も自然とメイベルの霊に感情移入してしまう。
「クリスマスにはどんなことでも起こりうる」。西洋にはそんな信仰が一般的なのだろう。日本では人々にそこまでの気持ちはないように思う。そして,プレゼント交換の変わりにキスを交わし合う二人。やがて嵐が去り,山を下りてしまうジリアン。二人の間にクリスマスの奇跡は起こるのか。
二人がクリスマスツリーにする木は「米松」と訳されているが,これは“ピーラー”,あるいは“ダグラスファー”,“オレゴンパイン”といろいろな種類があるらしい。  また,オーナメントという飾り物などクリスマスに関する用語がたくさん出てくるのも楽しい。なかなか結婚しようとしない息子たちの幸福を祈り,なにくれと画策するブラボー家の大黒柱ケイトリンと,最終話にふさわしく幽霊になってからも思い切りの悪い孫を導いていく祖母メイベルの気持ちがほんのりとした暖かさを感じさせる佳作。
98 2004/12/02 ジーナ・ウィルキンズ「恋に落ちたドクター」★★★
シルエット・スペシャル・エディションでジーナ・ウィルキンズ Gina Wilkins 「恋に落ちたドクター Doctor in Disguise 1998 小倉祥/訳 N-983」読了。
2003年10月5日刊。医者が主人公となるロマンス小説は多いが,医者という職業が外見的にはロマンティックな面を持っているからだろうか。ボストンの心臓専門医ロバート・アレクサンダー・キーティング(通称アレックス)は,40歳,久しぶりの休暇をアーカンソー州で愉しんでいた。つりの最中に川に落下してしまったところを救出され,地元の医師カーリー・フレッチャーが治療する。34歳のカーリーは苦学して医師となり,地域医療に生涯を捧げている。
アレックスはカーリーの治療を受けながら,自分が医師であることを告白するきっかけを失ってしまい,二人の間にはいつしか愛が芽ばえる。カーリーの幸せを願う祖母のベティは,アレックスに好意を抱き,何くれと世話を焼こうとする。「世界で最も望ましい独身男性」として雑誌に紹介され,女性からの愛のない告白にうんざりして休暇に来ているアレックスだが,カーリーには気持ちが揺らぐ。
隣人のボブはカーリーの看護婦の一人デビーに好意を抱いているが,デビーは牧師であるボブとは生涯をともにしようとは考えていない。4人はケイビング(洞窟探検)に出かけ,カーリーとアレックスの仲は急激に進展する。ある日具合の悪そうなボブの様子を見たアレックスが心臓に欠陥のあることを見抜き,州立の大病院にボブを移送したことからアレックスの職業がカーリーの知るところとなり,地域医師のカーリーと大都会の専門医アレックスの医師としての職業観の違いが浮き彫りにされる。しかし数日間会わなかっただけで,二人は互いに愛し合っていることに気付く。休暇を終え,帰っていくアレックス。ふたたび二人は出会えるのだろうか。
97 2004/11/26 ジョー・リー「魅惑のメロディ」★★★★
ハーレクインブレイズでジョー・リー Jo Leigh 「魅惑のメロディ A Dash of Temptation 2003 佐々木真澄/訳 BZ-01」読了。
ハーレクイン・ブレイズの記念すべき第1巻であり,ミニシリーズ「ロマンスの達人」の第2巻。「ロマンスの達人」はハーレクイン・テンプテーション・ブレイズ(T-491)「甘いタブー」が第1巻。第2巻である本書は第1巻の設定を元にして書かれているが,単独の物語として十分に読める。
テキサス州チューリップという小さな町から大都会に出てきた園芸家テス・ノートンは背が高くてスタイル抜群,アンジェリーナ・ジョリーばりの唇の持ち主。ノワール社の御曹司,重役であり社の顔であるダッシュ・ブラックは完璧な紳士であり,どんなところでも女性から声を掛けられ,ニコール・キッドマンともデートをするプレイボーイ。テスは園芸業への資金提供を申し出るため,投資家ジム・カレンに会うためパーティーに出席するエスコート役を捜していたが,ダッシュから,一緒にパーティに行かないかと誘われる。テキサスの田舎から出てきただけの自分があこがれのプレイボーイとデートを?まるでシンデレラになるような誘いにテスの心は揺れる。ダッシュの方もこれまで付き合ってきたセレブな女性たちとテスの違いに気づき,次第に離れがたくなっていく。現代版シンデレラストーリーもの。
プロローグ,本文中,エピローグがメールの文章でまとめられているなど,新鮮さを感じる。
テスの宿敵となるレイシー・タルボットも魅力たっぷり。女性版ホームズ譚のモリアーティ教授を描くとするとこんな感じか。
邦題になっている「魅惑のメロディ」はダッシュが作ったピアノ曲。幼いときに母を亡くしたダッシュはピアノを弾くことで自らを慰めており,プロ級の腕前であるが,周囲にはそれを隠している。
96 2004/11/23 ディアナ タルコット「フィアンセは御曹子?」★★
シルエットロマンスL-1116でディアナ・タルコット DeAnna  Talcott の「ボスは最高」シリーズ3,「フィアンセは御曹子? Fill-In Fiancee 2003 山田沙羅/訳」読了。
エミリー・ウィンターズの会社,ウィンターズソフト社の海外情報部長ブレット・ハミルトンはイギリス貴族。両親であるサーとレディは生粋のイギリス貴族で,家を継ぐためにふさわしい女性をブレットに押しつけようとする。法務部長秘書で法律事務員(パラリーガル)のサニー(サンシャイン)が書類を持ってブレットの部屋に入ってきたとき,丁度両親からの電話中で,意に添わない結婚をしないためには,すでに婚約者がいることにすればよいと思いつき,サニーに婚約者のふりをしてくれと頼む。
一方サニーは生真面目で,ワークホリックぎみ。両親がヒッピー的生活をしてきたため,学校にもいかず,努力によって現在の仕事を得た。丁度両親がアパートに寄留し始め,自分のプライバシーが保てなくなってきたところだったので,複数の寝室をもつブレットのアパートに同居することが都合がよかったため,その申し出にOKしてしまう。やがて,ブレットの両親を迎えるために,婚約者の予行演習をしている間に二人は互いに好意を抱いてしまう。この二人の両親はなんとなくテレビドラマの「ダーマ・アンド・グレッグ」を想起させる。
やがてブレットの両親がイギリスからやってくるが,手違いからホテルの部屋を確保できず,ブレットとサニーは同じ寝室で眠ることになる。さあ,二人の関係はここで急速に進展するかと思いきや,意外と決定的な関係にならずとても押さえた関係が続く。ロマンス小説ファンにはこのあたりはやや不満が残るのではないか。最後には二人とも離れがたくなり,両親もふたりの結婚を祝福することになるのだが,そのきっかけもよく分からないままである。やや,欲求不満が残る作品。
なお,原題の "Fiancee" という単語の後ろからふたつ目の "e" にはアクサンテギュがついているが,表記上ここでは省略した。
95 2004/11/21 ヘザー グレアム「ニューヨークから来た天使」 ★★★★
シルエットラブストリームLS-218でヘザー・グレアムの「ニューヨークから来た天使 Borrowed Angel 1989 中野 恵/訳」読了。
元モデルでデザイナーをしているアシュリーは宝石のCM撮影のために訪れたフロリダの大湿原エヴァーグレイズで,殺人現場を目撃し,さらにスタッフに乱暴されそうになったところを,オーナーの友人エリック・ホークに救出される。しかし迫り来る嵐のため,エリックと二人きりで数日間を過ごす。
エリックはフロリダに住むネイティブ・アメリカン,セミノール族のホーク一族。エリックの書いた一族の歴史を読んでアシュリーは興味をもつ。
アシュリーが目撃した殺人の被害者は誰か?犯人はエリックの家に銃弾を撃ち込んだ男か?やがて殺人の被害者の死体が発見され,犯人がつかまるがエリックは自分がねらわれていることことに気付く。エリックの妻と義兄を殺害した犯人ジェイコブズが脱獄した情報を得たからだ。
フロリダの大湿原で繰り広げられる死闘。「一番怖いのは自然ではなく人間だ」ということばのとおり,毒蛇がはい回る湿原でエリックとジェイコブズの一騎打ちが始まる。事件後,アシュリーは怪我をしたエリックを病院に残し,一人ニューヨークに帰る。
「彼女は理想の男性と恋に落ちるという過ちを犯した。問題は一緒に暮らす相手なのだ。」ニューヨークに帰ってデザイナーの仕事に没頭してもエリックのことが忘れられないアシュリーの元にエリックは現れるのか。
雄大なエヴァーグレイズの自然の猛威と豊かさ,怖さ,とネイティブ・アメリカンの生活,サスペンスとアドベンチャー,ロマンスと内容てんこ盛りの豪華な一作。
94 2004/11/19 キャンディス シューラー「エキゾチック・ムーン」 ★★★★
ハーレクインブレイズBZ-08でキャンディス・シューラー Candace Schuler の「エキゾチック・ムーン Uninhibited 2001 伊坂奈々/訳」読了。
“アニー・ホールに扮したパメラ・アンダーソン”と擬される女性ゾーイ・ムーン(Zoe Moon)。結婚と離婚を6回も繰り返している母を持つことから,結婚に対して恐怖を抱いている絶世の美女。自ら化粧品をつくり,それを販売して生計を立てているが,偶然出合ったモイラ・サリヴァンから資金の援助を申し出られ,家を訪れているとき,運命的にモイラの曾孫リード・サリヴァン4世(Reed Sulivan=a Boston blueblood--well-bred, sophisticated, urbane and oh-so-proper)と出会う。親友ジーナ・モリナーリとその親戚のママ・マルチェッリが大家をしている,大家族主義のイタリア系のアパートに暮らしているゾーイは,リードを鼻持ちならない傲慢な男と感じるが,ラグビーをしている時の飾らないリードの姿を見て恋するようになる。ゾーイの化粧品が資金援助にふさわしいかと調査を進めるうち,リードもゾーイが美しいだけでなく,真面目で真剣に商売に取り組む頭のよい女性だということに気付いていく中で,自分がゾーイを愛していることに気付く。
二人の間を接近させるのは,なんと,ビー玉。リンガーというアメリカ流のビー玉遊びがどのようなものか見たことはないが,周囲にサークルを設け,ビー玉をはじき出せば得点を得られたり,ビー玉を得られたりすることから,日本のビー玉遊びとあまり変わらないように思う。珍しいビー玉は1個あたり300ドル(33,000円?)もするというが,ゾーイはその価値に気付いていない。二人がビー玉遊びと野球拳を合わせたような遊びで贈り物を決めようとするところが圧巻。やがてリードとの婚約を破棄して他の男性のもとに走った元恋人の親戚が参加するパーティで,リードに新たな恋人を結びつけようとするたくらみを聞いてしまったゾーイは,母親の生き方から逃れられず,リードから離れようとする。二人は結ばれるのか。
映画の銀幕を見ているような細かな描写,二人の会話から想像されるそれぞれの心の動きの描写が実に見事な一冊。今年読んだ中で5本の指に入る傑作。
93 2004/11/14 ダラス シュルツェ「藁くじの花嫁」 ★★★★
ヒストリカル文庫でダラス・シュルツェ Dallas Schulze の「藁くじの花嫁 Short Straw Bride 1996 上木さよ子/訳 HBB-07」読了。
ロマンスと西部劇の融合。
意地悪な継母ならぬ叔父・叔母の元に預けられた賭博師の娘エレナー・ウィリアムズは20歳。南北戦争からそれほど時が経っていないこの時代ではすでに行き遅れ。町の雑貨屋の親父アンドリュー・ウェッブは4人の子持ちだが妻を亡くしており,行き遅れのエレナーを妻に迎えようと考えている。エレナーは仕方がないとは思いつつも,幸せな結婚,愛する人との結婚も望んでいる。
銀行家である叔父・叔母の一人娘でエレナーのいとこに当たるアナベルは両親の愛情を一心に受け,愛らしい娘だが甘やかされて育ったため,エレナーを使用人のように扱い,意地悪をすることも多い。
「バー・M・バー牧場」のルークとダニエル・マクレーン兄弟は,牧場をうまく経営しているが母親を亡くし,女手のないまま家の中は混乱を極めており,二人とも独身のため,どちらかが結婚することが必要だと話し合う。そして,どちらが先に結婚するかを藁くじで決めようとする。そして短い藁を引いた兄のルークは不本意ながら花嫁捜しに日曜日に教会の礼拝にやってくる。
エレナーが条件に合うことを知ったルークは,エレナーと結婚するためにウィリアムズ家を訪れ,二週間後には結婚したいと申し込む。ウェッブとの結婚よりも,男前のルークとの結婚を承諾したエレナーだが,美しいいとこのアナベルではなく自分が花嫁に選ばれた理由を疑い,不安になる。結婚式は簡単に済んでしまい,エレナーは牧場でルークとの新婚生活をはじめる。
20歳の世間を知らない娘が荒くれ男どもを手玉にとって,面倒を見ていく姿や,夫,その弟との関係を確立しようと努めていく姿は,西部劇を舞台にしたロマンスの面白さを満喫させてくれる。 そして,草競馬で起こる大事件。互いに愛する気持ちをもちながらも,すれ違いを乗り越えて愛し合う夫婦になっていくまでのロマンスと西部劇が見事に融合した快作。
92 2004/11/13 ジェイン アン クレンツ「不安な関係」 ★★★
MIRA文庫でジェイン・アン・クレンツの「不安な関係 Uneasy Alliance 高田恵子/訳 1984」読了。
ジェイン・アン・クレンツ名義,MIRA文庫では2作目。20年前の作で高田恵子さんの名訳ではあるが,あとがきで高田さんが「古さを感じさせない」と持ち上げてはいるものの,残念ながらロマンスとミステリと両方に色気を持ってしまったために,どちらも中途半端になってしまった感がある。
なんといってもヒロインアビー・リンドンの人物造形が明確ではない。さらにヒーローであるトール・ラティマーに秘密が多すぎたり優しい性格と乱暴な性格とが交互に出てきたりして,一体どんな人物なのか最後まで読み取れない。結局先物取引業者になる前の職業が社長というだけで,どんな会社なのかわからないし,なんとなく危なげな職業か,警官か私立探偵のような感じも否めない。
アビーの親友シンシアとその夫ウォードがどんな夫婦の危機を感じていたのかも思わせぶりで中途半端であり,ウォードとアビーの接近の原因もどうもはっきりしないなど,クレンツの習作的な感じがしてしまう。そういう意味ではクイック名義の作品のすばらしさが逆に際だってしまう。
ただ,前半3章の軽妙な会話でストーリーが展開していくところは,スピード感もあり,謎もありで,赤川次郎作品のような痛快な感じさえするところは買いである。クレンツ名義の真骨頂はココにあるのかもしれないし,訳者高田恵子さんの名訳のおかげかもしれない。
91 2004/11/12 ケイシー マイケルズ「サファイアの花嫁(「選ばれし花嫁たち」所収)」 ★★★
シルエット・コルトンズ第1巻。3人の花嫁の連作の第1はケイシー・マイケルズの「サファイアの花嫁 Sapphire Bride 2001 瀧川隆子/訳 SC-01」。
コルトン家の歴史が少しずつ語られながら,純粋な愛を貫こうとするヒロインサバナ・ハミルトン。ハミルトン家とコルトン家は確執のある家同士。しかもサナバのあこがれの人ハリソン・コルトンは「レディの傷心」のジョー・コルトンの甥にあたる。サバナの父サム・ハミルトンは事業家だが,会社は営業成績が上がっていない。ハミルトン家の長女アネットは父親を尊敬し,考え方も似ている。妹アネットは跳ねっ返りと言われているが,ハリソンと出会ったときはまだ18歳だった。美しい娘アネットに恋したハリソンは結婚しようとするが,コルトン家の支援より事業家としての自分の才能を生かそうと考えていた。アネットは父親サムのため,コルトン家の財産をあてにしてハリソンと結婚しようとしていたが,ハリソンの考えを知り婚約を破棄。金持ちのロバートと結婚してしまう。ハミルトン家への復讐のチャンスはあるのか。6年後24歳になったサバナはかつて義兄になるところだったハリソンにあこがれの気持ちを抱いていたが,傾き賭けた会社を建て直すため,契約結婚を父親に強要され,ハリソンに相談に現れる。
ハミルトン家への復讐のチャンスを得たハリソンだったが,いつしか妹のように思っていたサバナが一人の女性であることに気付き,愛してしまう。祖母のシビル・コルトンから電話がかかってきたのはそんな気の迷いがあるときだった。伝説のサファイアの首飾り。その人の心を映し出すという伝説の首飾りが,最後にアネットとサバナの試金石になる感動の結末。
ハリソンの会社の秘書ロレインがジェームズ・ボンドに登場するMの秘書にようで,とてもかっこいい。
90 2004/11/08 ケイシー マイケルズ「レディの傷心」 ★★★
シルエット・コルトンズ第2巻でケイシー・マイケルズ「レディの傷心 Beloved Wolf 2001 松村和紀子/訳 SC-02」読了。
アメリカ南部コルトン家の家族を描く連作大河小説の第2巻。第1巻がかなり重いのと,著者がケイシー・マイケルズなので第2巻から読み始めた。
人間関係やそもそもの発端の理解からすると,やはり第1巻から読み始めるべきかもしれないが,この巻単独でも大体の流れがつかめるように書かれているのはありがたい。これまで,第1巻の存在を知っていながら第2巻から読み始めるような読み方をしたことがなかった(知らずに読み始めることはあっても,途中で気付き,戻って読んでいた)が,ミステリー性のあまり強くないものはこのような読み方もできるのだと感じた。
サンフランシスコに住むコルトン家のソフィーは広告代理店勤務だが,恋人のチェット・ウォレスと二人で独立した会社を設立しようとして会社を辞めるが,なんとなく不安を感じている。一緒に食事をしたときちょっとした口論となったソフィーは一人で数ブロック先の家まで歩いて帰ろうとする。半ブロック過ぎたところでナイフを持った暴漢に襲われ,暴行を受け病院に運ばれる。知らせを聞きつけ,父の元上院議員ジョー・コルトンとコルトン家の里子で先住アメリカンとのハーフのリバーが病院に駆け付けるが,母のメレディスは見舞いにも来ない。数週間後故郷に還ったソフィーは母の冷たい言い方にさらに傷つく。ジョーとメレディスは自分たちの子供たちの他に里子や養子をたくさん受入れ,大家族をなしていたが,あるときを境にまるで接点のない夫婦になっていたのだ。
リバーとソフィーは幼いころから喧嘩友達だったが,それは互いに思いを寄せていたからだった。かつてソフィーはリバーが家族の中に受け入れられるように腐心したが,今度は家族の中で苦しむソフィーをリバーは支えようとする。周囲はリバーがいつソフィーを口説き落とすのか賭けるほど,リバーとソフィーはカップルとして受け入れられており,後は時間と当人同士の問題だった。
メレディスは精神を病んでおり,パッツィという謎の女性がストーリーの所々に登場し,ミステリアスな展開が予想されるが,この巻ではこのミステリーは解けない。
ジョーの60歳の誕生日を祝うパーティが盛大に開催され,スピーチにたったジョーを襲う驚愕のエンディング。
それにしても,“レディの傷心”という邦題は,実に問題。どこにでもありそうな,またかつてあった邦題だと思われる。レディはメレディスをさすのか,ソフィーを指すのか,それさえも明確ではなく,原題とも無関係。直訳すれば“最愛の狼”か。
89 2004/11/07 クリスティン リマー「愛するには危険」 ★★★
シルエット・スペシャル・エディションでクリスティン・リマーの“都合のいい結婚 悩める三兄弟2”「愛するには危険 Mercury Rising 2002」読了。
ブラボー家の次男ケイドはギャンブラーでプレイボーイ,何度か警察のお世話になった経歴の持ち主。所謂,結婚にふさわしくない男の代表。
ジェイン・エリオットは書店経営者。若いころ一度結婚しているが,DVにより妊娠中に子供を失い,その夫も事故でなくしており,結婚にはすっかり消極的になっている。ジェインの隣家を買上げて改修しはじめたケイドが,ある日,ジェインの玄関に美しい花瓶(ゲイジング・ボール)を置いていったことに気付いたジェインは,いわれのないプレゼントだと花瓶をケイドに返そうとする。何度かやりとりが続くうち,ふたりとも,互いに求め合う心があることに気付く。しかしジェインの母親バージニアは,ケイドの母ケイトリンはじめ,ケイド家に強い嫌悪感を抱いている。最も結婚にふさわしくない男と,危険な男に近づかずにはいられない致命的な弱点をもつ女はどのようにして幸せをつかんでいくのだろうか。
前作(「ボスに失恋? His Executive Sweetheart 2002」)に登場するアーロンとシーリア夫妻,そしてブラボー家の大黒柱ケイトリンなども登場し,この作品では,ジェインの父親とケイトリンの過去も次第に明らかになっていく。
エピローグは唐突。ケイドと孫娘の会話で終わっている。あと100ページあれば,その後のジェインとケイドがもう少し書き込まれていただろうが・・・。
88 2004/11/03 マギー シェイン「冷たい億万長者」 ★★
シルエット・スペシャル・エディションでマギー・シェインの「冷たい億万長者 Millon Dollar Marriage 1999」読了。
ザ・フォーチュン/富豪一族の伝説シリーズの一つ。フーチュン家のプレイボーイ,ホールデンはレッドロック高校のころから,頭がよく,目立たない少女であったルシンダ・ブライトウォーターは淑女であり,自分のような自堕落な男には手が出せないと思っていたが,密かにあこがれの気持ちもあった。一方ルシンダの方も自分は頭はよくても壁の花であり,金持ちでプレイボーイとして浮き名を流しているホールデンにあこがれを抱いているものの声を掛けることすらできない存在だった。
バレンタインデーのダンスパーティで,二人の間に事件が起こる。仲間に酒を飲まされて酔っぱらったホールデンは付き合っていたティファニーを怒らせてしまい,大勢の面前で引っぱたかれてしまう。それを見ていたルシンダは,ホールデンを介抱し,家まで送り届けるが,そこで初めて男性を知ることになる。しかし翌日ホールデンは昨夜のことを全く覚えておらず,ティファニーとよりを戻してしまう。その時ルシンダの身には重大な変化が起きていた。
16年後,家業を継いだホールデンは,父の遺産を受け継ぐには「きちんとした女性と結婚」する必要があった。一方産婦人科医となったルシンダは貧しい人たちのための産院建設の計画を持ってはいたが,資金のめどが立たず,しかも母から受け継いだ遺伝的な身体的危機に気付いていた。ホールデンは実家のダブル・クラウン牧場のパーティでルシンダに再会し,1年間の契約結婚を申し出る。この契約はルシンダにとっても都合のいい契約だった。二人の間に本当の愛は育っていくのだろうか。
冒頭でフォーチュン家を襲う嬰児誘拐事件。その結末はなにも進展しないまま物語は終わってしまう。複数の物語が同時進行していくのかと思われた本書だが,一方のミステリアスな部分は全く進展しないままエピローグを迎えてしまう。次作で語られるのかもしれないが・・・
ホールデンがプレイボーイを返上し,父の遺産を金銭的な面だけでなく,自堕落な性格から次第に「よい人間」に変身していくことや,ルシンダが卵巣摘出手術をしながらも,残ったもう一つの卵巣で妊娠しようとするなど,ちょっとわかりにくい面もあり,説明不足!156pには収まりきらなかったということか。でも,ホールデンの母メアリー・エレンやルシンダの同僚の医者たちがよい人ばかりで,キャラクター的には目を惹くものがある。
87 2004/10/31 太田忠司「藍の悲劇」 ★★★★
祥伝社NON・NOVELで太田忠司の名探偵霞田志郎シリーズ最新刊「藍の悲劇」読了。
「上海香炉の謎」から10作目。8作目の「紫の悲劇」9作目「紅の悲劇」と色シリーズが続き,今回は「藍」がテーマになっている。日本シリーズとも銘打たれている8作目以降だが,名探偵霞田志郎の最大のライバル男爵(バロン)こと桐原嘉彦が登場するシリーズともなっている。著者あとがきによれば,次作が「男爵最後の事件」となる予定だとか。
ともあれ,名探偵霞田志郎ほど心優しい探偵も珍しい。また,妹千鶴やその恋人三条刑事,そして同じ漫画家仲間の南田亜由美など,豊かなキャラクターを配したこのシリーズは人の心の奥底にある恋心や優しさ,恐れ,家族愛などロマンス小説にふさわしい要素をたっぷりと載せたシリーズであり,毎回,著者の蘊蓄が楽しいシリーズにもなっている。
今回は「藍染」。ゲストの志賀織香も後作に登場して欲しいキャラクター。
日本の色には前作「紅の悲劇」でもたくさんの色が登場するが,本当にいろいろな名前があるものだ。今回では「藍」も何回染めるかによって何種類もの色があることが述べられている。詳細はご一読。
86 2004/10/27 サラ ウッド「それぞれの嘘」 ★★★★
ハーレクインロマンスでサラ・ウッドの「それぞれの嘘 A Convenient Wife 2003 R-1999」読了。
読書メモ83番と同じように,原題で"Convenient"がつく。「便利な,都合のよい」という意味と「近くの」という意味がある。ストーリー的には富豪の財産を正当な後継者に渡すか,どうするかを決断しなければならなくなり,しかも互いに愛し合う二人の迷いと悩み,男女の愛,家族愛,子供への愛,親への愛,老いた夫婦の愛と,さまざまな愛の形を,156ページにさりげなく,うまく配置した佳作といえる。ヒロイン=ニコル,ヒーロー=ブレイクがそれぞれの子供(もっともニコルの息子のリュークは,生後11か月で一言も台詞はないが)への愛を全面に出しているが,ブレイクの息子ジョゼフ(ブレイクの父の名と同じ)の子供らしい,天真爛漫で大人顔負けの言動が読者をホッとさせ,二人の運命の暗さを少しも感じさせない見事な役回りを配している。舞台での上演が可能な小品に仕上がっている。
さらに,この家族をじっと見守り,病死する妻を密かに看取る父ジョゼフの最後の動作「ジョゼフはかよわい蝶を手に包んだ。それから,胸いっぱいの愛を込めて大空に放した」が無限の余韻を残していて,暖かさと爽やかさを読者の胸に残す,さりげないエンディングは心憎い。
85 2004/10/25 キャロル モーティマー「知られざる思い」 ★★★
ハーレクインプレゼンツ作家シリーズでキャロル モーティマーの“エメラレルド色の誘惑3”「知られざる思い To Make a Marriage 2001 P-236」読了。
サマー家の3姉妹の三女アンディ(アンドリア)は26歳。幼いころから父の友人で14歳年上のアダム・マンローに密かな思いを抱いている。だが,アダムはいつもアンディをからかってばかりいる。アンディはアダムが,亡き母バーバラに思いを寄せていたことを感じているのだ。
アダムのエスコートでパーティーに出かけたアンディは,思いがけずアダムに抱かれ,妊娠してしまう。幼な妻シリーズというTV番組があったが,そのようなストーリーかと思いきや,この後,謎の女性グレンダ・ハワースが現れるやいなや,物語は突然ミステリアスな雰囲気に変わってしまう。
アダムとグレンダの関係は? アダムとバーバラの関係は? 最後にどんでん返しが待っているが,エピローグはハッピーエンドである。
84 2004/10/24 マギー・シェイン「暗闇のヴィーナス」(光と闇のウェディング所収) ★★
シルエットラブストリーム「光と闇のウェディング LS187」でマギー・シェインの「暗闇のヴィーナス Twilight Vows 1998」読了。
アイルランドの古城に伝わるバンパイア伝説。故郷に帰ったレイチェルは小さいころから危険な目にあったときや苦しい目にあったときに救ってくれたある男性を知っていた。しかしその男性こそ伝説のバンパイア,ダンテ城のドロバン・オロークだった。ある夜,酒場にドノバンと名乗る男性が現れる。レイチェルは伝説の真偽を確かめるため,ドノバンを追いかけ,ダンテ城に入って,ドノバンに本当にバンパイアかどうか尋ねる。
二人の運命はどうなるのか。これはホラーではなく,人間とバンパイアのロマンス。114pの小品だが,二人の心の触れあいが人知を越え,愛の純粋性を見事に描いている。
83 2004/10/23 リン・グレアム「誰も知らない結婚」 ★★★
ハーレクイン・ロマンスでリン・グレアムの「誰も知らない結婚 The Banker's Convenient Wife 2004 R-2000」読了。
ハーレクイン・ロマンスの2000号記念号。いわゆる“記憶喪失もの”。このパターンのロマンスはサンドラ・ブラウンはじめ,多くの作家が試みている,ロマンス小説の王道。
9代続いたイタリア系スイス銀行家の家系,ロエルは祖父から「幸せな結婚」をしないと遺産を受け取れないという変わった遺言を残される。たまたま入ったロンドンの美容室の美容師ヒラリー・ロスは,電話でイタリア語で話すロエルの話を内容を聞き,わたしが結婚してあげましょうかと提案する。実質のない結婚を。
ヒラリーは親戚にイタリア系の人がおり,イタリア語を聞き取ることができたのだ。
4年後ロエルは交通事故を起こし,過去5年間の記憶を無くしてしまう。丁度いい具合に5年間というところに無理はあるが,そこはおとぎ話を進めるための設定。ロエルが財布に入れていたヒラリーの写真とその裏に書かれた電話番号をもとに,ロンドンからヒラリーが呼び出され,ヒラリーはロエルの病室に駆け付ける。当然自分の妻だという話を信用したロエルは,ヒラリーの小柄ですばらしい体つきに惹かれ,関係を持ってしまう。
数週間でロエルの記憶は戻るが,仮初めの結婚をしたことを忘れさせ,改めてヒラリーに惹かれていくロエル。しかしロエルは責任の発生する結婚に恐れを抱くが,その気持ちをヒラリーにぶつけることしかできない。二人の気持ちがフィットするのはいつか,その一転で物語は最後まではらはらどきどきを引っ張っていく。
原題の「銀行家のコンヴィニエントな妻」,コンビニがどこにでもある現代。うまい題名をつけたものだ。
82 2004/10/19 マギー・シェイン「星から来た恋人」 ★★★
シルエットラブストリームでマギー・シェインの「星から来た恋人 Out-Of-This-World Marriage 1995 LS-214」読了。
マギー・シェインの作品は今回初読。タイトルの「星から来た・・・」というSF風のタイトルに惹かれて読み始めた。地球外の恋人についてはかれこれ映画やSF小説でも多く題材に取り上げられている。大体,男性が地球人,女性がエイリアンという設定が多いのではないか。映画「花嫁はエイリアン」では,UFO研究家の男性とエイリアンの女性という組み合わせだったが,本作では地球人の男性は町医者。エイリアンの女性はとある星のプリンセス。
設定は独特だが,男性が女性への本当の愛に目覚めるまでの過程は他のロマンス小説と変わらない。地球外生命体が地球に(特にアメリカになのか?)多く住んでおり,少数民族のようにある町に集中して住んでいるという設定や,エイリアンの女性の星が生命尊重の習慣がすでに消え失せていることなど,なかなか巧みな設定が見られるものの,これは純粋にロマンス小説の王道を行っている作品。
81 2004/10/12 ノーラ・ロバーツ「マクレガーの花婿たち」 ★★★★
MIRA文庫でノーラ・ロバーツの「マクレガーの花婿たち The MacGregor Grooms 平江まゆみ/訳 1998」読了。
第1話はマクレガー家の元大統領アランとシェルビー夫妻の長男DC(ダニエル・キャンベル)=画家とドレークス百貨店の令嬢レイナ・ドレークスのロマンス。45pでレイナの部屋を初めて訪れたDC,朝食でベーコンエッグをつまんですぐだったが,部屋の内部の壁の色を“トースト色”と表現している。このあたりがノーラの表現力のすばらしさ!
第2話はマクレガー家の一人娘だったセレナとディーラー=ジャスティンの2男,ダンカンが登場。両親の系統を引いてカジノ・ボート(ミシシッピ河を上り下りするカジノを設置してある観光用客船)の経営者。出資者はもちろん両親だけでなくマクレガー家の親分,ダニエル・マクレガー。貧しい生活からはい上がるため歌手をしているキャサリン(キャット)・メアリー・ファレルがこのカジノ・ボートに送り込まれる。ダニエルの差し金だと気づいているダンカンだが,やはりたくらみに乗ってしまう。ダンカンの性格は197pに簡潔に表現されている。“ダンカン・ブレードはロマンスの信奉者だった。ロマンスが持つ力と美しさを信じていた。その細やかな感情としぐさを大切に思っていた。” さて,ダンカンはどのようにキャットに近づいていくのだろうか。なお,このボートには両親と祖父母も乗船し,ストーリーが展開する。
第3話はマクレガー家の2男で元司法長官ケインとダイアナ夫妻の長男,弁護士=イアン。ダニエルがお相手に選んだのは書店経営者=ナオミ・ブライトストーン。ノーラの作品には何人か書店の経営者が登場する。特に記憶に残るのはスリー・シスターズ島の魔女3人組の一人ミア・デヴリン。あちらはちょっと型破りだが,このヒロインのナオミは典型的な書店向き?。302pに“ナオミはデスクから銀縁の眼鏡を取ってきた。(略)でも,眼鏡をかけるとまじめくさった知的な灰色の瞳がより美しく見える。”とあるように,書店員と聞いただけで容易に想像できるタイプ。
ノーラの作品の表現力の豊かさを十分に感じ取れる,また,シリーズものとしての広がりも感じられる安定株の一冊。
80 2004/10/09 シャロン・サラ「夜だけの恋人」 ★★
シルエット・ラブ・ストリームでシャロン・サラの「夜だけの恋人 Gentle Persuasion 1993 石川園枝/訳 SL-208/04.09/\704/220p」読了
シャロン・サラの作品はMIRA文庫で読むことが多いが,ロマンスとサスペンスが微妙にブレンドされた作品が多いように思う。
この作品もヒーローである警察官と家の手伝いに来た幼なじみの娘とのラブロマンスなのだが,ヒーロー=コール・ブラウンフィールドは警官としての誇りから結婚になかなか踏み出せないし,ヒロイン=デボラ・ジーン・ランダル(デビー)もコールに対して無理を押しつけようとはせず,互いの詳細な心の動きの描写や家族の心配,コールの弟であるパソコンオタクのバディ特異なキャラクターなど,脇役もしっかり描かれていて,一応の及第点はつけられる作品に仕上がっている。
79 2004/10/06 クリスティン・リマー「ボスに失恋?」 ★★★
シルエット・スペシャル・エディションでクリスティン・リマーの“都合のいい結婚 悩める三兄弟1”「ボスに失恋? His Executive Sweetheart 2002 村上あずさ/訳 N-1032/04.10/\704/220p」読了
クリスティン・リマー(Christine Rimmer)はロマンス小説作家になるまで,女優,店員,ビルの管理人などさまざまな職業を経験し,現在オクラホマ州在住。この作品でもヒーローのアーロン・ブラボーはカジノの経営者でありヒロインのシーリア・タトルはその秘書と,オフィスを舞台にしている。
一言で言えばオフィスラブの展開と結末なのだが,ヒーロー=アーロン・ブラボーの複雑な家庭状況や母親ケイトリンという特異なキャラクター,ヒロイン=シーリアの詳細な心の動きの描写や親友のジェイン,ジリーとの楽しい会話など,アップテンポでストーリー展開の良さとシーリアに感情移入しやすいよう工夫された描写が結構いい。
このシリーズではアーロンの弟,ウィルとケイドの物語が続き,三部作となっている。
78 2004/10/02 バーバラ・マコーリィ「謎めいた恋人たち」 ★★★
ハーレクイン・プレゼンツ・作家シリーズでバーバラ・マコーリィの秘められた思い3「謎めいた恋人たち Killian's Passion 1999 南 和子/訳 P230」読了
77“秘密の一夜”の次作。ルーカス,ニックに続き,イアン(キリアン)のロマンス。3人は“ウルフ・リヴァー少年の家”に半年間同じ時期に入っており,離れていても親友という強い絆で結ばれている。
イアンは,bV1では名前しか出てこない。またbV7でも最後に顔を出す程度なので,正体がつかめないところがある。本書でもやっと6章でその正体が明かされる。ネタばれになるので,ここではそのことは書かない。また,ヒロインのカーラ・シンクレアは,私立探偵となっているが,独立して警備会社の共同経営者(実質的オーナー)であり,前2作とはちょっと毛色の変わった職業に就いている。
マーガレット・マルドゥーンが男か女かも分からない孫のために毎年欠かさず出すあてのないバースデーカードを残しており,33歳の今イアンの元にそのカードが届けられたところはかなり泣かせるシーン。
77 2004/10/01 バーバラ・マコーリィ「秘密の一夜」 ★★★★
ハーレクイン・プレゼンツ・作家シリーズでバーバラ・マコーリィの秘められた思い2「秘密の一夜 Secret Baby Santos 1999 秋元美由起/訳 P229」読了
74“スウィート・リベンジ”の次作。元バイク・レーサーのニック・サントスがヒーロー。学校時代に嫌がらせを受けていたときニックに助けられて時からずっとあこがれと恋心を抱いていたマギー(マーガレット・ジェーン)・スミス。新聞記者時代にニックの取材にパーティー会場行った際,酔って,暗闇の状況で一度の関係を持ってしまい,一言も告げずに息子ドルーを出産するマギー。後にドルーの父親が必要だと思いリチャードと結婚するが,愛のない結婚に気付き,離婚。そして,父の手術後の手伝いにマギーはドルーをつれてウルフ・リヴァーに帰郷した。
当然,修理工場を経営していたニックに再会。しかし,あの一夜の秘密は打ち明けられずにいた。
前作で結婚したルーカスとジュリアナ夫妻も登場。弁護士のロジャーが相変わらずのドジぶりを示すなど,ウルフ・リヴァーの青春群像を短い中に十分に描き出している。次作の主人公イアン(キリアン)も最後に登場し,ストーリーを広げている。
76 2004/09/30 キャロル・モーティマー「恋を生みだす銀貨」 ★★
ハーレクインロマンスでキャロル・モーティマー「恋を生みだす銀貨 To Have a Husband 2000 柿原日出子/訳 R1737」読了
エメラルド色の誘惑という三部作の一作目。ジェローム・サマーの3人の娘ハリー=弁護士29歳,ダニー=パイロット27歳,アンディ=雑誌編集者25歳がそれぞれのヒロインとなる。
一作目だけに三部作の説明的要素もあるせいか,作品としての完成度は今ひとつ。ヒロイン/ハリーとヒーロー/クインが互いに惹かれていくところが十分描かれておらず,突然熱い仲になってしまい,結婚を了承してしまうという乱暴なストーリー展開。しかも二人の年齢差も意識の端っこにはあったものの説明不足のまま結末に突入してしまう。
第2作目の「コックピットの恋人」も入手済だが,3作目は未入手。
75 2004/09/30 マーゴ・マグワイア「打ち寄せる波のごとく」 ★★★
ハーレクインヒストリカルでマーゴ・マグワイアの「打ち寄せる波のごとく Norwyck's Lady 2002 古沢絵里/訳 HS183」読了。
イングランドの海岸に流れ着いた難破船からの生存者は美しい女性だった。妻に裏切られ,兄に死に別れてにわかに領主になったバーソロミュー(バート)は,女性を信頼する気持ちを亡くしていた。しかも漂着した女性は記憶を失っているといい,自分の出自も名前すら覚えていなかった。バーとの弟妹はその女性に対しては,信頼を寄せる弟,末っ子の妹と,できるだけ無視しようとする弟と妹とに分かれている。末娘がマーガレットと名付けた女性は,弟妹たちにも領民たちにもやさしく温かい心遣いをし,次第に信頼を寄せられる。
バートの宿敵から領地を守るため,日々訓練と城壁づくりに携わるうちに,二人の関係は進展し,ついに二人は結ばれる。しかし心はまだつながっていなかった。そのうちマーガレットは次第に記憶を取り戻し,自分がマイリという名前で,バートの宿敵であるアームストロングの娘であることを思い出す。女性への信頼感を失っているバートの信頼感を得られるまではこのことをバートに悟られてはいけない。戻った記憶を老騎士に話しているとき,妹のキャサリンはその話を立ち聞きしてしまう。
折しも,領地に侵入し妹をさらわれたバートはついに宿敵に対して兵を挙げるが,妹を救おうとしたマーガレットが替わりに捉えられ,宿敵の僚友マキューエンと結婚させられようとする。マーガレット(マイリ)を愛してしまったことにきずいたバートは,マーガレットの救出に間に合うのか。
ギターラやプサルテリウムという古楽器の音色と哀調を浴びた音楽が聞こえてきそうな情緒ある一作。
74 2004/09/29 バーバラ・マコーリィ「スウィート・リベンジ」 ★★★★
ハーレクイン・プレゼンツ・作家シリーズでバーバラ・マコーリィの「スウィート・リベンジ 1999 速水えり/訳 P228」読了
71「真夏の花嫁」の関連作。ルーカス・ブラックホーク。テキサス州ウルフ・リヴァーの町を離れて10年後に帰郷してきた。父親が当時の町の有力者メイソン・ハドリーに銃で撃たれ,その後刑務所でなくなるという不幸に逢い,ハドリーに復讐するために帰ってきたのだ。
ハドリーの娘ジュリアナは美しい容姿をもちながらも,“アイス・プリンセス”と呼ばれ,町の人々から孤立して生きてきた。しかし9歳のころからルーカスに密かに思いをよせていた。ルーカスはメイソンを経済的に破滅させ,復讐の一部としてジュリアナに結婚を迫る。ジュリアナも自分たち親子がルーカスから憎まれていることを承知で結婚を承諾する。
実はハドリー親子にも驚愕の秘密が隠されており,ラストでその秘密が明かされる。ルーカスは結婚後ジュリアナに憎しみとその魅力の間で苦しむが,ついに結ばれる。しかし互いに心から許し合っているとは思えず,ささいなことから,すれ違いが生まれていく。このすれ違いの描き方がロマンス小説作家の腕の見せ所だが,B・マコーリィは実にうまい。
やがてジュリアナは妊娠し,双子であることもわかるが,自暴自棄になったメイソンはルーカスに銃を向ける。二人の心はいつ・どのように溶け合うのか。
73 2004/09/28 シェリル・ウッズ「フィナーレはあなたと」 ★★★
ハーレクイン・スペシャル・エディション(N-992)でシェリル・ウッズの「フィナーレはあなたと Wrangling the Redhead 2001 新号友子/訳」読了
「愛のノスタルジア」というシリーズの第5作。ワイオミング州ワインディング・リバー高校の5人同級生たちの愛とロマンスの物語の最終巻。キャシー・コリンズ,カレン・ハンソン,ジーナ・ペトリロ,エマ・ロジャーズと本編のヒロインローレン・ウィンターズの5人。ハリウッドで女優として活躍していたローレンは偶然の積み重ねで出演第1作でオスカーを手にし,ジュリア・ロバーツに次ぐギャランティを穫れる女優となったが,自分の居場所がここではないと感じ,故郷のワインディング・リバーにもどり,カレンとグレディ夫妻の牧場に身を寄せるが,そこで牧童がしらのウェイドとであう。不幸な出自から金持ちに対して常に反抗心を持つウェイド。そのことに気付いたローレンはウェイドに惹かれるが故に金持ちの女優であることを隠し,ウェイドに接近する。二人の気持ちが通じ合えたとき,所在不明になったローレンにマスコミが騒ぎ出し,ハリウッドにもどって釈明会見を開いている最中,ウェイドはタブロイド紙の表紙をにぎわしているローレンに気付き,牧場を去る。
不幸な偶然が重なることがロマンスの基本。ある意味,この展開は予測できるものの,読み進めるうちにはこの展開がとても自然に思えてくる。
ウェイドの誤解は解けるのか。シリーズ最後で残されたローレンに幸せは訪れるのか。どきどきは十分堪能できる一作。
なお,シリーズ第1作から第4作は未入手。
72 2004/09/27 ダイアナ・パーマー「汚れなき花嫁」 ★★
ウェディングストーリー2004「愛は永遠に」所収でダイアナ・パーマーの「汚れなき花嫁 Calamity Mon 2002 真咲理央/訳」読了。
ダイアナ・パーマーの小編。春休みを迎えた大学生シェリー・アスターは級友とフロリダに遊びに行く。シェリーは大学一年生だが24歳。年より若く見える。特に美人というわけでもなく スタイルがいいわけでもないが,人柄の良さと愛らしさをもつ。たまたまおぼれかかった少年ベンを助けたことから,ベンの父ファークナーから感謝される。フォークナーは銀行員 で上流階級として過ごしている。シェリーに惹かれるフォークナーだが,ベンの母親と離婚してから,結婚に対して慎重になっている。
はたして二人は結ばれるのか。
71 2004/09/25 バーバラ・マコーリィ「真夏の花嫁」 ★★★★
シルエット別冊でバーバラ・マコーリィの「真夏の花嫁 Summer Gold 2003 南 和子/訳 SB4」読了。
バーバラ・マコーリィを初めて読む。今月のハーレクインでは,シルエット・ダンフォースの「御曹司とスキャンダル」も購入済だが,引き続き読む予定。南カリフォルニア在住で 20作以上がベストセラーリストに載ると紹介されている。
状況設定が面白い。あらすじ的に言えば,別れた妻との間にできていた子供の存在を知らなかった富豪が,元妻な亡きあと,妻の両親に育てられていた子供の親権を取り戻すために, 条件に合う女性にプロポーズし,女性もプロポーズを受けてしまうということになる。ロマンス小説的にはヒロインは最後のページで結婚にこぎ着けるパターンが多いわけだが,前半 3分の1で結婚式シーンが出てくるのも珍しい。
町の図書館勤務のペイジの「まさか」や「あらまぁ」が,こちらの笑みを誘う。相手役のクレイは男性として理想的に描かれているのには食傷してしまうが,自分の牧場経営に自らの 努力だけで一代で財を築く真摯な生き方に脱帽。クレイの娘ジュリアのお利口さんぶりもちょっと鼻につくが,ペイジの元ボーイフレンドのバーニーのマザコンぶりには腹を抱えて しまう。
70 2004/09/23 デボラ・ヘイル「美女と悪魔」 ★★★
ハーレクイン・ヒストリカルでデボラ・ヘイルの「美女と悪魔 Beauty and the Baron 2003 吉田和代/訳 HS185」読了。
ヒストリカル・ロマンスを読み続けている。原題は"Beauty and the Baron" 美女と野獣をもじっているのは明白だが,それにしてもバロンが悪魔という意味もあるのか?まんま,美女と男爵でよかったのではないか。 歴史的には1818年。ワーテルローの勇者,男爵ルーシャスは怪我を負い,帰国。顔を半分隠す仮面をかぶっており,人前には出たがらない。また,人嫌いを隠すため,昼間は寝て, 夜,天体観測に費やす毎日のため,周囲からルシファー卿とあだ名されている。
一方ヒロインのアンジェラ・レースウッドは身分的には高貴ではないが,天性の明るさでおっちょこちょい,困っている人には全霊を捧げ尽くし,失敗してもへこまない強さをもつ 愛らしさを絵に描いたような少女。身分的に二人が結ばれる可能性はほとんどないが,ルーシャスを大切に思っている祖父のウェランド伯爵が余命三ヶ月と医者に診断されたこと から,領地を嗣ぐための結婚をして,祖父を安心させようとする。ルーシャスはアンジェラに婚約者のまねをして欲しいと頼む。アンジェラはルーシャスが戦地に赴いている間に ウェランダ伯爵の心の友として訪問していたからである。
思ったとおり,始めは反発し合う二人だが,ルーシャスの本当はやさしい人柄とアンジェラの明るく愛らしい人柄に互いに気付き,ついには祖父亡き後二人は結ばれる。アンジェラの人柄にブラボー!
著者デボラ・ヘイルはカナダ在住の歴史ロマンス小説作家。ハーレクイン・ヒストリカルで数冊翻訳あり。
HS164「船上の花嫁」 HS139「紳士の約束」 HS134「罪深き婚礼」
69 2004/09/20 マーゴ・マグワイア「精霊の花嫁」 ★★
ハーレクイン・ヒストリカルでマーゴ・マグワイアの「精霊の花嫁 Celtic Bride 2001 下山由美/訳 HS192」読了。
ヒストリカル・ロマンスを読み続けている。原題は"Celtic Bride"なので“ケルト人の花嫁”だろうが,文中ケルト人とアイルランド人がほぼ同意義で使われていると思われるため 「アイルランドの花嫁」でもよいだろう。いずれにしても1428年当時のイングランドでは,アイルランドは遙か遠隔の地,フランスの方がかえって近い地だったとおもわれる。人々が自然とともに生き,自然を支配することなどは考えもしなかった時代であり,人の愛もまた神からの贈り物と信じられていただろう。
ヒロインであるアイルランドのキーリン。イ・ヘイ氏族オシェー一族の中で聖なる槍をもつと予知能力を発揮する代々受け継がれた特殊能力を持つお姫様。ヒーローはイングランドのレクストン伯爵マーカス・ド・グラント。二人は互いに惹かれながらも互いの運命と責任をまっとうするためになかなか一つになれないで読者をやきもきさせる。レクストン城に帰った二人に悪巧みによる危険が何度も迫る。犯人は誰か?
医者が存在しなかった時代であり治療は薬草と外科手術しかなかった。手当の仕方についてかなり詳しく書かれているので不思議に思っていたが,作者マーゴ・マグワイアが現役の看護婦をしていると「作者の横顔」に書かれており,納得。
翻訳が固いのか,原文が固いのか分からないが,どうも文章がぎくしゃくしているところがある。
当時の衣装として”ウィンプル”というのが登場してくる。女性のかぶり物だそうだが
http://www.costume.tv/cdic/068-069.html
http://www110.sakura.ne.jp/~hwlweb2/Info/index.htmに詳しい。
68 2004/09/19 シェリル・ウッズ「愛は故郷の町に」 ★★★
ハーレクイン・リクエストでシェリル・ウッズの「愛は故郷の町に A Daring Vow 1993 雨宮朱里/訳」読了。
著者の「あの日,恋に落ちて(N-540)」でヒロイン,ケイト・ニュートン弁護士の秘書として登場したゼルダ・レインが本編のヒロイン。
母の死を知らされたゼルダは,ロサンゼルスからサウスカロライナの故郷の町ポートウィリアムに帰郷する。その連絡を寄こしたのは,ゼルダが故郷の町を捨てるきっかけとなった愛した人,テイラー・マシューズからだった。今でもテイラーを愛しているが,故郷の町はゼルダを受け入れてくれるだろうか。テイラーはどう変わっているのだろうか。さまざまな不安を抱えながらも,持ち前のアグレッシヴでいっぷう変わったユーモアセンスで,ゼルダはテイラーとその父親,そして故郷の町の人々の冷たい視線に挑戦していく。ゼルダに幼い頃から愛情を注いでいたセーラ・リンの励ましもあって,ゼルダは母親の家を改修し,強い意志でテイラーの事務所の秘書として働く。テイラーもゼルダとの愛をあきらめ,捨てて,傷つけてしまった負い目を感じており,父親ボウに反抗の態度を見せる。
テイラーには亡き妻メアリベスとの間にケイトリンという7歳の娘がおり,寄宿学校にやっている。過去のことを知らないケイトリンはゼルダになつくが,亡き妻の間に何があったかをテイラーはゼルダに言おうとしない。町の人も口をつぐんでいるため,テイラーの妻に何が起こったかが謎としてストーリーを引っ張っていく。
やがて,事故が起き,事件が起きる。愛らしいケイトリンとゼルダとの会話,テイラーの思いこみはいつ改善されるのか。そして終末近くのテイラーのあっと驚く行動とは。
静かな町をあっと驚かせるテイラーとゼルダの愛の奇跡がさわやかな読後感をもたらす佳作。
67 2004/09/16 赤川次郎「虹色のヴァイオリン」 ★
斜麓駆メモで日本人作家の作品を紹介するのは,初めてとなる。赤川次郎氏の作品を読破するのは難しい。数が多すぎるからだけではなく,シリーズものが多く,いったん一つのシリーズを読み始めると,シリーズ全作品を読まずにはいられなくなるからである。
斜麓駆としては,「三毛猫ホームズシリーズ」は雑誌EQに連載したものから読み始めたが,途中でチェックをやめている。完全にチェックしているのは,この「杉原爽香(さやか)シリーズ」だけである。その理由は非常に簡単,定期的に年1回ペースで新刊が出ることが予告されており,文庫オリジナルだからである。
しかし前作「茜色のプロムナード」はこの斜麓駆メモには掲載しなかった。当時まだロマンス小説の概念規定を広げていなかったため。
<ここからネタばれがあります>

杉原爽香はこのシリーズ16作目で,年齢31歳。夫明男とは仕事の関係ですれ違いの生活を余儀なくされているが,ときどきみせる二人の気遣いの場面がうれしい。爽香の周囲では必ず事件が起こり,その解決に爽香が必ずかかわってくるのがお約束になっているが,今回は幼児誘拐。
そして,女優栗崎英子がかなりかっこいい役で今回も登場。爽香の新しい仕事である「レインボー・プロジェクト」も順調だが,新規にプロジェクトを立ち上げて完成させるまでというのは,とにかく大変な作業の連続であり,その責任者であれば,たとえどんなに優秀なスタッフを抱えていても完成するまでは気が抜けず,完成すればしたで,その維持にさらに気を遣わなければならないこともある。
斜麓駆自身,過去2年間で体験したことなので,爽香に肩入れしたくなる。表題に色を使っているので,「杉原爽香の水彩スケッチキット」1000名様プレゼントの応募券がついている。
66 2004/09/14 シェリル・ウッズ「凍てついた情熱」 ★★
シルエット・スペシャル・エディションでシェリル・ウッズのディバニー兄弟の孤独最終巻「凍てついた情熱 Daniel's Desire 2003 井野上悦子/訳」読了。
2004年5月から続いて刊行されてきたシェリル・ウッズの「ディバニー兄弟の孤独」シリーズの最終巻。両親に捨てられた5人の兄弟(うち長男から3男までが里親の元で育ち,4男・5男の双子は両親の元で育てられる)が家族の絆を取り戻すお話し。
なぜ,両親が子供を捨てたのか,を謎として5巻まで引っ張ってきているが,その前に5男ダニエルはソーシャル・ワーカーとして活動しているというあたりが,とても皮肉。そして,前巻でも登場するモリーがダニエルと交際しており,分かれてしまった理由,
モリーのもとに偶然現れる家出少女ケンドラとケンドラをめぐって駆け引きを繰り広げるモリーとダニエル。突然両親の元を訪れるライアン以下の兄弟たち,と前半はかなり忙しい展開。
そして,少女ケンドラのあっと驚く家出の理由。ケンドラの両親の愛情あふれる対応には心底ほっとする。同時進行でディバニー家の家族の再会の時が近づく。
アイルランド人の大家族主義,強い信仰心,それを支える女性たちの深い愛情。ロマンス小説の醍醐味がてんこ盛りのストーリー展開と大団円。最終巻にふさわしい結末となる。家族も自分も,いずれ自分たちで問題を解決しようとする努力を認め合うことが大切だという教訓がテーマとなっている。
65 2004/09/12 Sun  ポーラ・マーシャル「罪深きワルツ」 ★★★
ハーレクイン・ヒストリカルでポーラ・マーシャルの「罪深きワルツ」読了。
ヒストリカルロマンスを読み続けている。今月からヒストリカルは3冊発行。さらに文庫2冊を含め5冊という充実ぶり。月5冊以上をテーマとしている斜麓駆としては,ほとんどがヒストリカルになることになるかも。
1813年(摂政時代)。この摂政時代についてはよく分からなかった。ローリー・キングの「The Beekeepers」でもこの摂政時代が背景になっているので,なにか参考になるウェブサイトはないものかと探していたら,「ネケト」さんの「帝王辞典」のサイトを発見。イングランド王ジョージ3世が精神疾患に陥り,1810年代の約10年間,プリンス・オブ・ウェールズ(後のジョージ4世)の摂政時代があったということらしい。「帝王辞典」については,「ヒストリカルのページ」にリンクを張らせていただいた。
さて,物語は女資産家のレベッカ・ロワラン(ベック)はいとこのサラ・ウィングフィールドに振られた,見目麗しく良家出身ではあるが一文無しのウィル・シャフトーの契約結婚を持ちかける。つまり,ウィルに「自分のひもになれ」と言ったことになる。名を捨て,実を取るということから,ウィルはこの申し出を受け入れるが,同時に男勝りのレベッカが実は美しいのに自分に自信を持っていないことを訝り,その原因を探ろうとする。二人のニアミスが読みどころである。徐々に変化していく二人の心情に読者はやきもきさせられる。このあたりが実に自然で面白い。
圧巻はシャーウッドの森での冒険とその後ウィルの出奔を追うベックの追跡行。19世紀初頭の元気のよい女性に拍手喝采!
作者のポーラ・マーシャルは「十年目の蜜月(HS69)」「エマと伯爵(HS53)」「消えたプリンセス(HS15)」「貴婦人の条件(HS166)」「報復は甘く(ヒステリカルロマンス)」など,いずれもヒステリカルの作品を残しているが,いずれもAmazonでは絶版。ただし,「エマと伯爵」「消えたプリンセス」はエメラレルド・コミックで購入可能。
64 2004/09/05 Sun  デボラ・シモンズ「ディ・バラ家の物語 1」 ★★★
ハーレクイン・プレゼンツ・作家シリーズ別冊でデボラ・シモンズの「ディ・バラ家の物語1」『狼を愛した姫君 Taming the Wolf 1995 岡 聖子/訳』『魔性の花嫁 The de Burgh Bride 1998 山田信子/訳』読了
ヒストリカルロマンスを読み続けている。「魅惑の修道女」では五男ロビン・ディ・バラのロマンスが紹介されていた。「狼を・・・」では長男ダンスタンと一家の支えとなるマリオンのロマンスが,「魔性の・・・」では三男ジェフリーと野生の姫君エレナのいっぷう変わったロマンスが語られている。
1270年代のイングランド。王エドワードの家臣であるディ・バラ家のキャンピオン伯爵の7人の子息たち。長男ダンスタンは次男サイモンと三男ジェフリーが盗賊から救ったマリオンを所領まで送っていくことになる。一次的に記憶を失いながらも何度もダンスタンから逃亡しようとするマリオンの行動をダンスタンは理解できないでいる。
無事キャンピオンに集合したディ・バラ家に伝えられた王からの依頼は,じゃじゃ馬で新婚の夫を自らの短剣で殺害したエレナとの結婚だった。くじ引きでエレナの夫となり所領を治めることになったジェフリーは果たしてその役目を果たすことができるのだろうか。
63 2004/09/03 Fri  アマンダ・クイック「隻眼のガーディアン」 ★★★★
ヴィレッジ・ブックスでアマンダ・クイックの「隻眼のガーディアン Deception 1993 中谷ハルナ/訳 」読了
ヒストリカルロマンスを読み続けている。アマンダ・クイックは「エメラルドグリーンの誘惑」に続く第2弾。
オリンピア・ウィングフィールドはとても親しみやすいヒロインとして設定されている。自らは「世事に通じた大人の女性」とよく口にするが,実際には伝説に取り憑かれ,海に沈んだ財宝の在処を一度も外国に出かけたことなく地図上で謎を解明しようとするなど,情熱的で矛盾に満ちた行動が思わず笑みを浮かべずには読めない愛すべき正確として設定されている。
逆にヒーローのジャレッド・チルハースト子爵は自らの先祖の隠された財宝の在処を記した先祖の日記を手にするために,オリンピアの家庭に3人の甥の家庭教師として住み込むバカーニアらしくない人物。予定表と懐中時計を常に携帯し,終始自分の周囲を予定と正確さで支配しようとする堅物,情熱のかけらもない人物として描かれている。
このミスマッチな二人が互いにロマンスに陥るという状況のおもしろさ,オリンピアの探求心と謎の解明,3人の少年たちとジャレッドの授業の様子などのストーリーのおもしろさとを縦糸に,家政婦のミセス・バードやジャレッドの父・叔父兄弟など,魅力的なキャラクターを脇役に,息をつかせぬ読み応えのある一作に仕上がっている。
62 2004/08/29 Sun  デボラ・シモンズ「魅惑の修道女」 ★★★★
ハーレクイン・ヒストリカルでデボラ・シモンズの「魅惑の修道女 My Lady de Burgh 2001 すなみ 翔/訳 」読了
ヒストリカルロマンスを読み続けている。デボラ・シモンズはディ・バラ家,ド・レーシ家などヒストリカル・ロマンスのシリーズ作家。
ディ・バラ家の騎士ロビン。
結婚に対して強い嫌悪感をもっているが,それは,兄たちが次々と結婚し家を離れてしまったこと,そのことによって家族の結束力が弱まったように感じていることが原因だった。
怪しい男にウェールズのヴァーラ王女が「嘆きの女たちが逃げ込む場所」を探すようにほのめかされたロビンは,領地の「嘆きの聖母マリア修道院」を訪ねてみると,丁度修道女が亡くなったところに遭遇する。事故か殺人か。見習い修道女のシビルとその原因を探ることにしたロビンは,シビルが運命の人と感じる。
亡くなった修道女のエリザとシビルは幼い頃修道院につれてこられたことは分かった。ヴァーラとの関係がありそうだが,ヴァーラとその娘を亡き者にしようと怪しい二人の男が修道院の近くの村に現れたことが分かる。シビルを守るために仮初めの結婚をし領地に帰ったロビンは,結婚に対するこだわりとシビルに惹かれる自分の中で苦しむ。
ロビンもシビルも大人の本当の愛情に気付くのはいつのことか。そのカタルシスを描くのは作家の腕。デボラ・シモンズはロマンス作家として実にうまく描いている。
シビルの風貌はあまり描かれていないが,ジェニファー・ロペスのような小柄な美女のイメージ,そしてシビルを導くロビンの兄サイモンの妻ビーシアはテレビドラマ「バイオニック・ジェミー」のジェミー・ソマーズ役のリンゼイ・ワグナーが適役か。
61 2004/08/24 Tue  アマンダ・クイック「エメラルドグリーンの誘惑」 ★★★
ヴィレッジブックスでアマンダ・クイック(J.A.KLENZ)の「エメラルドグリーンの誘惑 Seduction 1990 中谷ハルナ/訳 」読了
ヒストリカルロマンスを読み続けている。ジェイン・アン・クレンツの別名アマンダ・クイックを最近知り,「隻眼のガーディアン」を購入したところ,本書を知り,追加で購入。
ヒロインであるソフィーは少女のような愛らしい性格。23歳。すでにこの時代では社交界にデビューし結婚している年齢。だが,レイヴンウッド伯爵ジュリアンに見初められて結婚するものの,夫に「愛している」と言わせたいがため,けなげにもいろいろと夫に逆らってみる。
このあたりの駆け引きが好感が持てる。読書を好み,薬草には広範囲の知識を持ち,医学の十分発達していない時代に健康アドヴァイザー的に活躍する。純真で賢明な生き方には誰しも引き寄せられるだろう。
ジュリアンが大変愚鈍に描かれているが,これはロマンス小説の常道か。愛らしいソフィーを社会の魔の手から必死に守ろうとするジュリアンの姿に思わず応援したくなる。
60 2004/08/16 Mon  ニコラ・コーニック「夢に見し人」 ★★★★
ハーレクイン・ヒストリカルでニコラ・コーニックの「夢に見し人 Miss Verey's Proposal 2001 小長光弘美/訳 HS-190」読了
子供の頃親友との他愛のないおしゃべりで“食事抜きでベッドに入り,後ろを向かずにいれば未来の結婚相手の夢が見られる”という遊びを実行したジェーン。夢に見たのは夜中に廊下を歩き回る黒髪の怪しげな男を見かけたあとだった。
4年後ジェーンの結婚相手として屋敷を訪れたのは礼儀を知らないフィリップ・デラヘイ卿。フィリップの振る舞いに腹を立てたジェーンは一計を案じる。そしてロンドンの社交界にデビューしたジェーンと親友ソフィーを待っていたのは,フィリップによって社交界に流された心ない噂だった。
やがてフィリップに思いを寄せるソフィー,兄サイモンが思いを寄せるテレーズ。そしてジェーンが思いを寄せるのはフィリップの兄アレックス・デラヘイ卿。
3組の若い男女の恋の結末は。ロンドン社交界のシーズンにおける様々な舞踏会やそれぞれの登場人物の様子が克明に描かれた読み応えのある一巻。
59 2004/08/10 Tue  エリザベス・ロールズ「子爵の誘惑」 ★★★
ハーレクイン・ヒストリカルでエリザベス・ロールズの「子爵の誘惑 Mistress or Marriage 2001 井上 碧/訳 HS-189」読了
19世紀初頭のイギリス摂政時代。兄の跡を継いでヘルフォード子爵となったデイヴィッドはロンドンから自分の領地に戻る途中,領地の村であやうく少年と女性を馬車で衝突しそうになる。
それはキットとミズ・マーズデンだった。折しもデイヴィッドは領地を守るため愛のない結婚をする相手をロンドンの社交界から自宅に招待し,結婚を申し込もうとしていた。
その相手レディ・ルシンダにはデイヴィッド自身も愛を感じられず,周囲の友人たち,使用人たちも密かに彼女を嫌っている。一方,身分違いではあるがミズ・マーズデンは誰もが好もしい感情を抱く。
友人たちや使用人,少年キッドの計らいによりデイヴィッドは愛のない結婚を選ぶのか,真実の愛にはいつ気付くのか。
58 2004/08/07 Sat  シェリル・ウッズ「不器用な誘惑」(ディバニー兄弟の孤独 4) ★★
ハーレクイン・シルエット・スペシャル・エディションでシェリル・ウッズのディバニー兄弟の孤独シリーズ第4弾「不器用な誘惑 Patrick's Destiny 2003 鈴木いっこ/訳」読了
ディバニー兄弟の孤独シリーズ第4弾。長男ライアンの物語から次男ショーン,3男マイケルへとバラバラになった兄弟が次第にその絆を回復してきた。本書では4男パトリックが登場。これまで3巻は両親に捨てられた兄弟たちが出会った女性たちに後押しをされながら兄弟との絆を取り戻してきた。4男パトリックは漁師。両親が兄3人を捨てて,自分たち(自分と双子の兄弟ダニエル)だけで幸せな生活を送っていることを18歳で知り,家をでて漁師になってから10年。捨てられた兄たちに申し訳ないという気持ちと両親への怒りを捨てずに自分の心を閉ざしたまま過ごしている。
ひょんなことで出会った幼稚園教師アリス・ニューベリーに心惹かれるが・・・。アリスも両親に反抗して家を出て,和解しないまま両親が事故でなくなってしまうという心の重荷を持ち続けている。アリスの方がパトリックに夢中になりつつも二人は自分の心の重荷から解放されないまますれ違いを重ねてしまう。互いの心は許しあっても,家族へのわだかまりを捨てきれないためけんかを重ねてしまう二人の関係は・・・。4月始めに始まる物語は6月でやっと解決を見る。
「家族の問題は一度に一つずつしか解決できないようね」というアリスの言葉に表れているように,次の第5巻へと物語は続く。
アリスの積極的な性格,友人モリーの傷つきやすく暖かい性格には思わず微笑まずにはいられない。
57 2004/08/04 Wed  ノーラ・ロバーツ「恋人たちの航路」 ★★★
扶桑社ロマンスでノーラ・ロバーツのシーサイド・トリロジー・スペシャル「恋人たちの航路 Chesapeake Blue」(2002)読了。
このシリーズはすでに完結しているが,読者の強い要望により著者がスペシャル版として出版したもの。
それぞれ不幸な少年時代を送っていた3人の若者を引き取って育ててきたレイ・クインとステラ・クイン夫妻。このアイルランド系の夫妻に育てられた若者たちがそれぞれ自分の職業に就いた頃引き取られてきたセス。彼はレイの隠し子だったのか。その謎が解決したところでこのシリーズはひとまず完結したのだが,それから18年後,産みの母親グロリアに脅迫されていたセスを困難に立ち向かわせたのは富豪の一人娘ドルーシラ(ドリー)だった。
困難に出会うたびに兄弟で家族の絆を武器に立ち向かっていくクイン兄弟に誰しもが感動と爽やかさを覚える。家族愛をテーマにしたシリーズは著者の得意とするところだが,そのなかでもまさに随一のシリーズといえる。
次男イーサンの娘オーブリーをヒロインにした一作を望む読者の声が多いと聞くが,そうなれば,マクレガー家のシリーズのような大河小説になることまちがいなし。
56 2004/07/30 Fri  サンドラ・ブラウン「言いだせなくて」 ★★
MIRA文庫でサンドラ・ブラウン「言いだせなくて Led Astray」(堺谷みゆき/訳 1985)読了。
帯によると「星をなくした夜(MIRA文庫SB01-02)1987」のストーリー上の前作に当たる。
牧師館に保護されて育ったジェニー・フレッチャーはハル,ケージ兄弟の弟ハルと婚約をする仲であるが,ハルは紛争中の中米モンテネグロにボランティアとして出かけるという。
ハルの出発前夜ジェニーはハルを誘惑し自らを捧げるが,やがてハルはモンテネグロで被害に遭い,命をなくしてしまう。一方ハルとは性格が正反対のケージはジェニーに心を寄せているが,ハルとジェニーの間に割ってはいるわけではない。
しかし,ジェニーにもケージにも互いに言いだせない秘密があった。ハルが亡くなった今,ジェニーとケージはどうなるのか。・・・
55 2004/07/29 Thu サリー・チーニー「売り渡された娘」 ★★★
ハーレクイン・ヒストリカル文庫,サリー・チーニー Sally Cheney「売り渡された娘 The Wager」(西田ひかる/訳 1996 HHB-04)読了。
ハーレクイン・ヒストリカル文庫は本年5月から隔月で2冊ずつ発売されることになった。本作品は7月に発売された2冊の内の1冊。
著者は書店経営者から作家に転身したアイダホ州在住の作家。舞台は19世紀のロンドン。スメタナのオペラに「売られた花嫁」というのがあるが,邦題はそれをもじったものか。原題は"The Wager"直訳すると「賭」,
16歳の孤児マリアンはポーカーで後見人の権利を獲得したピーター・デズモンドに出会うが,ピーターはマリアンの影響で心や生き方までを変えていく。
「あしながおじさん」的要素と屋敷の家政婦ミセス・リヴァーや小間使いアリスが二人を気遣う様子がすがすがしい。女性が大学で学ぶことが少なかった時代,次第に自分の才能に気付き,最後は勇気をふるって愛する人を救おうとするマリアンの成長は読者を惹きつけてやまないビルドゥングス・ロマンになっている。
54 2004/07/23 Fri  ダイアナ・パーマー「蔑まれた純情」 ★
ハーレクイン・シルエット・デザイア「蔑まれた純情 To Love and Cherish」(1979)読了。
シェルビー・ケインは大女優マリアの一人娘。しかし母から愛情をかけられたことはなかった。
部屋を貸している男友達のダニーの実家である牧場に遊びに行くが,ダニーの兄キングストン(キング)にことごとく辛く当たられる。
キングはシェルビーを“都会の女”として言葉の端端に嫌みを交える。シェルビーはダニーを愛するのか,キングに惹かれていくのか。
原題は「愛し慈しむこと」。それがなぜ「蔑まれた純情」になるのか・・・。
53 2004/07/20 Tue  ダイアナ・パーマー「はかない初恋」 ★★
ハーレクイン・シルエット・ロマンス「はなかい初恋 Dream's End」(1979)読了。
社長とその個人秘書のロマンス,といえば,月並みな関係。ロマンス小説にもならないと言えなくもないが,脇役とか敵役をいかに絡ませるかが作者の腕と言えるかもしれない。
社長秘書エリナー・ペリーはボス,カリー・マザーソンの元に18歳で秘書となり密かに23歳の現在まで恋心を抱いているが,プライベートな関係がないまま仕事上の関係に終始してきた。
そんなエリナーのけなげな気持ちにカリーはいつ気付くのか。それがストーリーの中心である。
原作は79年であるが,このテーマは古くささを感じさせない。
52 2004/07/19 Mon  シャロン・サラ「溺れた人魚」 ★★★
MIRA文庫「ミステリー・イン・ブルー On the Edge」の第1弾 シャロン・サラ「溺れた人魚 Capsized 2003」読了。
この他にはカーラ・ネガーズの「愛と欲望の島」,ヘザー・グレアムの「ジャスミンは死の香り」と3編の中編が入っている。
麻薬取締局の潜入捜査官ケリー・スローンは麻薬密売組織のボス,ドミニク・オルテガの元に潜入し裁判でオルテガを有罪にできるだけの証拠を集めることに成功する。しかし彼女がかつて刑務所に送り込んだ男が仮釈放でオルテガの元を訪れ正体がばれてしまう。オルテガのクルーザーで沖合に出,あわやというところで隙を見て逃げ出したケリーだが。
休暇中のテキサスレンジャー=クイン・マコードは半裸の美女が海から揚がってくるのをみて,人魚かと見まがうがそれは,オルテガから逃れてきたケリーだった。
二人はオルテガの裁判までにワシントンにたどり着かなければならない。また,二百万ドルの賞金がかけられたケリーは賞金稼ぎたちからも逃げなければならない。絶体絶命に陥ったケリーが最後に選んだ逃げ場所は読者を驚かせる。
サスペンス・アドベンチャーの全ての要素がそろったすばらしい中編。
51 2004/07/18 Sun  ダイアナ・パーマー「この恋,勝負あり?」 ★★★
ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ「テキサス探偵物語」の第3弾 ダイアナ・パーマー「この恋,勝負あり? The Case of the Missing Secretary PB-17」読了。
デイン・ラシター探偵事務所で捜査員になったばかりのキットは会社の経営者ローガン・デヴラルの秘書として以前勤めていたが,密かにローガンを愛していた。しかしローガンはイケイケの美女ベッツィーと婚約している。
ローガンの母タンジーやいとこのエメット,その子供たちのわんぱく3兄妹などにぎやかにドタバタ喜劇が進行する。
舞台はテキサスというよりはタンジーが逃げ出すあちらこちらに飛び飛びになり,探偵らしい動きをするのはタンジーを探すキットの素人っぽさだけ。ま,これはドタバタ喜劇としては目先が変わっていいかも知れないというだけの感じ。

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